組織のプロセス能力を評価・改善するための枠組みが CMMI(Capability Maturity Model Integration) です。
CMMIとは
CMMIとは、組織のプロセス能力(成熟度)を段階的に向上させるためのモデルです。
CMMIはベストプラクティス集(モデル)です。
開発、サービス提供、調達などさまざまな分野で、組織の成熟度を評価し、改善の道筋を示す指標として活用されています。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | Capability Maturity Model Integration |
日本語 | 能力成熟度モデル統合 |
最新版 | CMMI v3.0(2023年) |
対象領域 | 開発、サービス、調達など |
成熟度レベル
CMMIが定義する5つの成熟度レベルは以下の通りです。
レベル | 名称 |
---|---|
レベル1 | 初期(Initial) |
レベル2 | 管理された(Managed) |
レベル3 | 定義された(Defined) |
レベル4 | 定量的に管理された(Quantitatively Managed) |
レベル5 | 最適化している(Optimizing) |
それでは、それぞれのレベルについて順に見ていきましょう。
レベル1:初期(Initial)
プロセスが定義されておらず、場当たり的に作業を進めている状態です。
成功や失敗が個人のスキルや経験に大きく依存しており、再現性がありません。
- 特徴:手順がなく、プロジェクトごとにバラバラな進め方
- 例:ベテラン社員が独自のやり方で作業し、ドキュメントが残されていない
🔍 キーワード:「属人化」「再現性の欠如」「偶然の成功」
小規模の事業体だと、実態はレベル1で回っているかもしれませんね。
レベル2:管理された(Managed)
プロジェクト単位で基本的な管理プロセスが確立され、計画・進捗・品質が管理可能な状態です。
管理の枠組みが整い、問題発生時にも記録をもとに対応できます。
- 特徴:スケジュールやコスト、品質の管理ルールがある
- 例:プロジェクト計画書、進捗報告書、課題管理表を作成している
🔍 キーワード:「管理」「計画」「記録」
マネージャにマネジメントスキルがあるものの、依然マネージャのスキルに依存しています。
レベル3:定義された(Defined)
プロジェクトごとの管理を超え、組織全体で共通の標準プロセスを運用している状態です。
知識やノウハウが組織全体で共有され、品質のばらつきが減少します。
- 特徴:共通の開発プロセスが整備されている
- 例:組織のすべてのプロジェクトに同一の開発標準を適用、教育制度も整備
🔍 キーワード:「標準化」「教育」「ナレッジ共有」
共通フレームをテーラリングした開発標準などが組織に準備され、適用されている状態です。
レベル4:定量的に管理された(Quantitatively Managed)
プロセスの適切な段階で数値的に評価し、データに基づいて管理・改善する段階です。
ばらつきを定量的に分析し、予測に基づく管理が可能になります。
- 特徴:品質指標や生産性を統計的に管理している
- 例:不具合発生率や工数実績を計測・分析し、予測
🔍 キーワード:「データ」「予測」「定量評価」
マネージャ単位で分析を実施するのではなく、標準プロセスに定量評価が組み込まれた状態です。
レベル5:最適化している(Optimizing)
継続的な改善活動が定着し、組織として最適化を続ける文化が根付いている状態です。
新しい技術や手法を積極的に導入し、プロセスそのものを革新します。
- 特徴:改善提案を募集する制度や定期的なプロセス見直しがある
- 例:プロセス改善チームが定期的にPDCAを実施
🔍 キーワード:「継続的改善」「革新」「文化」
定めた開発標準を、さらに改善する活動を継続的に取り組んでいる状態です。
まとめ:成熟度モデルから考えるプロジェクトマネジメント
CMMIの認定制度もありますが、認定を利用しないとしても学ぶ価値があります。
せっかく良い開発標準が組織にあるのに、プロジェクトへのテーラリングでレビューや定量評価をところどころ怠っている。その結果、プロジェクトが失敗した、なんてことは実態としてまだまだあるのではないでしょうか。
「なぜ同じようなプロジェクトで品質や納期が安定しないのか?」
その原因を見つけるための手がかりが、CMMIの成熟度モデルにあると考えています。
コメント